阿部一族
『 阿部一族 』
森鴎外
1913
近代日本文学

名著の概要

ジャンル

[ "文学", "近代日本文学", "日本文学" ]

テーマ

歴史 世相 群像劇 武士道

概要

森鷗外が著した短編小説。江戸時代初期に肥後藩の重職であった阿部一族が上意討ちで全滅した事件を題材に創作され、大正2年(1913年)1月に『中央公論』誌上に発表された。

目次

内容

寛永18年(1641年)、肥後藩主細川忠利の病状が悪化し、側近たちは次々と殉死を願い出た。老臣の阿部弥一右衛門もまた殉死の許可を乞うが、謹厳な彼を昔からけむたがっていた忠利は「生きて新藩主を助けよ」と遺言し、許可は出ないまま忠利は死去する。一時は勤務を続けたが、家中から命を惜しんでいると誹謗が出るようになったことから、弥一右衛門は一族を集め、彼らの面前で切腹を遂げた。 しかし、今度は忠利の遺命に背いたことが問題視され始め、阿部家は藩から家格を落とす処分をされた。うっぷんをつのらせた長男の権兵衛は、忠利の一周忌法要の席上で髻を切り、非礼を咎められて捕縛され、盗賊同様に縛り首とされた。藩から一族に加えられた度重なる恥辱に、次男の弥五兵衛はじめ一族は覚悟を決して屋敷に立てこもり、藩のさし向けた討手と死闘を展開して全滅する。
森鴎外
森鴎外
日本

著者の概要

ジャンル

[ "文学", "日本文学", "近代日本文学" ]

著者紹介

大学卒業後、陸軍軍医になり、陸軍省派遣留学生としてドイツでも軍医として4年過ごした。帰国後、訳詩編「於母影」、小説「舞姫」、翻訳「即興詩人」を発表する。 その後、日清戦争出征や小倉転勤などにより一時期創作活動から遠ざかったものの、『スバル』創刊後に「ヰタ・セクスアリス」「雁」などを発表。乃木希典の殉死に影響されて「興津弥五右衛門の遺書」を発表後、「阿部一族」「高瀬舟」など歴史小説や史伝「澁江抽斎」なども執筆した。