隷属への道
『 隷属への道 』
ハイエク
1944
西洋現代政治学

名著の概要

ジャンル

[ "哲学", "西洋哲学", "西洋現代哲学", "政治学", "西洋政治学", "西洋現代政治学" ]

テーマ

社会主義の本質 自由について

概要

中央計画経済が必然的な結果としてもたらされる国民生活全体の隷属について警告する内容であり、同時に個人主義や古典的自由主義の放棄も同じく隷属を招くと主張している。 1944年の出版以来、『隷属への道』は200万部を超える売上を記録し、市場自由主義を代表する著作であり続けている。

目次

内容

本書が出版されるまでファシズムやナチズムは社会主義に対する反対として理解されていたが、ハイエクはそれらの本質的な同一性を明らかにしようとする。19世紀に自由主義批判が強まると、ドイツ思想界では自由の計画化と呼ばれる試みが提唱されるようになった。それは市場という社会の自律的な調整機能を廃止し、特定の目標に対して社会の諸力を意識的に指導する社会主義であり、それは欠乏や貧困からの自由を掲げながら自由主義者に受容されていった。 社会主義の理念を達成するためには生産手段の私有廃止や指導機関による経済計画の導入が必要である。この方法をハイエクは計画化と呼び、これは市場における競争に対する敵意に基づいていると指摘する。また敵対関係ではなく協力的経済活動の計画化は、完全な知識・情報を持っているものが自分達は正しいという前提に立って経済だけに留まらない社会的影響を伴うものであり、結果として経済統制は全生活の統制となり、選択の自由は失われてしまう。 つまり政治的選択肢として考えられるものとは、各自が一般的な基準に従いながら妥当な分け前を獲得できる体制と、それができない体制という選択肢ではなく、少数の計画者によって分け前が決定される体制と少なくとも一部分は個人や企業によって決められる体制の選択である。計画化を主張する意味においてナチズムやファシズム、社会主義は同一の立場であり、これらは経済に対する政治の優越を前提としている。 ハイエクは計画化とは少数の権力者に対する屈服であり、市場に基づいた自由こそが文明の発展には不可欠であると論じる。
ハイエク
ハイエク
オーストリア

著者の概要

ジャンル

[ "哲学", "西洋哲学", "西洋現代哲学", "政治学", "西洋政治学", "西洋現代政治学", "経済学", "西洋経済学", "西洋現代経済学", "オーストリア学派" ]

著者紹介

オーストリア・ウィーン生まれの経済学者、哲学者。オーストリア学派の代表的学者の一人であり、経済学、政治哲学、法哲学、さらに心理学にまで渡る多岐な業績を残した。20世紀を代表する自由主義の思想家。ノーベル経済学賞の受賞者。 1944年 発表した「隷属への道」(The Road to Serfdom) は社会主義、共産主義、ファシズム、ナチズムが同根の集産主義であると批判し、当時のベストセラーとなる 経済学においては、ハイエクの初期の業績は景気循環に対する貨幣の影響を分析する貨幣的景気循環理論への貢献としてよく知られている。また、自身の貨幣的景気循環理論を深化させ、投資と資本蓄積のメカニズムについての分析も行った。