雨夜譚
『 雨夜譚 』
渋沢栄一
1887
日本近代哲学

名著の概要

ジャンル

[ "哲学", "東洋哲学", "日本哲学", "その他日本哲学", "日本近代哲学" ]

テーマ

渋沢栄一の自叙伝

概要

激動の幕末維新を背景に、大実業家・渋沢栄一(1840‐1931)が疾風怒涛の青春を語る自伝。尊攘倒幕の志士→徳川家家臣→明治政府官僚と転身を重ねる著者の生き方は鋭い現実主義に貫かれた魅力をもち、維新変革をなしとげたエネルギーが生きいきと伝わってく

目次

内容

1887年(明治20年)に渋沢栄一が門弟たちに乞われて四夜にわたって語った前半生の回想を筆記したものである。 渋沢栄一は1874年(明治6年)に大蔵省(当時)を辞職して在野の実業家の道に進むことになるが、この回想録では実業家時代のことは語られていない。 幕末の京都でのエピソードなど、前半生の幕末の激動期のドラマチックな展開が特徴。 また、子供時代に師匠であった親類の尾高淳忠から受けた「多読学習法」や、修験者をやりこめたエピソードに見られる迷信を徹底的に否定する近代「的」合理主義精神なども表れている。
渋沢栄一
渋沢栄一
日本

著者の概要

ジャンル

[ "哲学", "東洋哲学", "日本哲学", "その他近世日本哲学", "日本近代哲学" ]

著者紹介

江戸時代末期に農民(名主身分)から武士(幕臣)に取り立てられ、一橋慶喜のちの徳川慶喜に仕えた。 明治政府では、大蔵少輔事務取扱となり、大蔵大輔・井上馨の下で財政政策を行った。 退官後は実業家に転じ、第一国立銀行や理化学研究所、東京証券取引所といった多種多様な会社の設立・経営に関わり、二松學舍第3代舎長(現・二松学舎大学)を務めた他、商法講習所(現・一橋大学)、大倉商業学校(現・東京経済大学)の設立にも尽力し、それらの功績を元に「日本資本主義の父」と称される。 また、論語を通じた経営哲学でも広く知られている。 令和6年(2024年)より新紙幣一万円札の顔となる。また、令和3年(2021年)に渋沢栄一を主人公としたNHK大河ドラマ『青天を衝け』が放送される予定 大正5年(1916年)に『論語と算盤』を著し、「道徳経済合一説」という理念を打ち出した。幼少期に学んだ『論語』を拠り所に倫理と利益の両立を掲げ、経済を発展させ、利益を独占するのではなく、国全体を豊かにする為に、富は全体で共有するものとして社会に還元することを説くと同時に自身にも心がけた。 『論語と算盤』にはその理念が端的に次のように述べられている。 「富をなす根源は何かと言えば、仁義道徳。正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができぬ。」 そして、道徳と離れた欺瞞、不道徳、権謀術数的な商才は、真の商才ではないと言っている。また、同書の次の言葉には、栄一の経営哲学のエッセンスが込められている。 「事柄に対し如何にせば道理にかなうかをまず考え、しかしてその道理にかなったやり方をすれば国家社会の利益となるかを考え、さらにかくすれば自己のためにもなるかと考える。そう考えてみたとき、もしそれが自己のためにはならぬが、道理にもかない、国家社会をも利益するということなら、余は断然自己を捨てて、道理のあるところに従うつもりである。」