『 饗宴 』
紀元前4世紀
古代ギリシア・ローマ哲学
名著の概要
ジャンル
[
"哲学",
"西洋哲学",
"古代ギリシア・ローマ哲学"
]
テーマ
愛とは何か
欲望とは何か
概要
対話を通じて、愛とは何か、心の奥底にある様々な願望の正体を考察した著書
目次
内容
紀元前400年頃のアテナイ。アポロドロスは友人に、紀元前416年[4]にあった饗宴の話を教えてほしいとせがまれる。
アポロドロスは、ついこの間も、別の知人からその話をせがまれたことを明かしつつ、その饗宴は自分達が子供の頃のかなり昔の話であり、自分も直接そこにいたわけではないが、そこに居合わせたキュダテナイオン区のアリストデモスというソクラテスの友人・敬愛者から、詳しい話を聞いて知っていること、また、その知人にパレロンの自宅からアテナイ市内までの道を歩きがてら、語って聞かせたので、話す準備はできていることを述べつつ、アリストデモスが述べたままに、回想が語られる。
紀元前416年、アテナイの悲劇詩人アガトンが悲劇のコンクールで初優勝した翌日、アガトンの邸宅での祝賀饗宴に招かれているソクラテスが、身なりを整えているところに、アリストデモスは出くわし、一緒についていくことになった。アガトンの邸宅に着くと、既に友人達が集っており、ちょうど食事をするところだった。食事を終え、エリュクシマコスが今夜は演説で時を過ごそうと提案、論題を「エロース」に設定し、順々に演説を行っていくことになる。
対話篇:
エロース賛美の演説 - エリュクシマコスの提案で、愛の神エロースを賛美する演説を行うこととなる。パイドロス、他の数人(省略)、パウサニアス、エリュクシマコス、アリストパネス、アガトンが順に演説を行う。
ソクラテスの演説 - ソクラテスは自分の説ではなく、マンティネイア出身の婦人ディオティマに聞いた説として、愛の教説を語る。
愛(エロース)とは欠乏と富裕から生まれ、その両方の性質を備えている。ゆえに不死のものではないが、神的な性質を備え、不死を欲求する。すなわち愛は自身の存在を永遠なものにしようとする欲求である。これは自らに似たものに自らを刻印し、再生産することによって行われる。このような生産的な性質をもつ愛には幾つかの段階があり、生物的な再生産から、他者への教育による再生産へと向かう。愛は真によいものである知(ソピアー)に向かうものであるから、愛知者(ピロソポス)である。愛がもとめるべきもっとも美しいものは、永遠なる美のイデアであり、美のイデアを求めることが最も優れている。美の大海に出たものは、イデアを見、驚異に満たされる。これを求めることこそがもっとも高次の愛である。(以上、ディオティマの説)
アルキビアデスの乱入 - ソクラテスの信奉者である若いアルキビアデスが登場する。アルキビアデスはすでに酔っており、ソクラテスが自分をいかに愛さなかったか、自分がソクラテスを愛者にしようとしていかに拒まれたか、また戦場でソクラテスの態度がいかに立派なものであったかを語る。これはいままで抽象的に展開されてきた愛を体現した人として、プラトンが師の肖像を描こうとした部分といえる。
アルキビアデスの乱入のあと饗宴は混乱し、夜通し騒いだ後みなが宴席で寝静まったところに、ソクラテスは酔い乱れることもなく、体育場へ出て行く。
プラトン
古代ギリシア
著者の概要
ジャンル
[
"哲学",
"西洋哲学",
"古代ギリシア・ローマ哲学",
"政治学",
"西洋政治学",
"西洋古代政治学"
]
著者紹介
プラトン(紀元前427年 - 紀元前347年)は、古代ギリシアの哲学者である。ソクラテスの弟子にして、アリストテレスの師に当たる。プラトンの思想は西洋哲学の主要な源流であり、哲学者ホワイトヘッドは「西洋哲学の歴史とはプラトンへの膨大な注釈である」という趣旨のことを述べた。