1984年
『 1984年 』
ジョージ・オーウェル
1949
現代イギリス文学

名著の概要

ジャンル

[ "文学", "現代文学", "現代イギリス文学", "西洋文学", "西洋現代文学", "イギリス文学" ]

テーマ

ディストピア 近未来

概要

1948年に出版された、全体主義国家となったイギリスが舞台のディストピア小説。一党による独裁・強固な思想統制が敷かれた監視社会をリアリティを持って描いたこの作品は、冷戦下において反共・反全体主義のバイブルとして広がった。後述する様々な作品中の用語のいくつかは、現在に至っても一般名詞として政治批評・新聞などに登場するほどの影響力を持つ。2017年のトランプ大統領就任と、事実を歪曲させフェイクニュースを流すその政治姿勢と類似した内容の本書が、突如爆発的な売上を記録したことも記憶に新しい。

目次

内容

核戦争を経て、世界がオセアニア、ユーラシア、イースタシアの3つに分割された1984年の世界が舞台。これらの三国は常に戦争を繰り返しており、どこの国も常に戦時かつ、慢性的な物資の欠乏状態となっている。その一つであるオセアニア(現在のイギリスと英連邦を中心とした地域)に暮らすウィンストン・スミスが主人公。オセアニア国内はまるで現在の北朝鮮をさらに悪くしたような独裁・監視国家であり、市民は常にテレスクリーンと呼ばれる双方向テレビジョンでいかなる時にも監視されている。党の指導者はビッグブラザーと呼ばれ、作中の町の至るところに掲示されているとされる標語の「ビッグブラザーがあなたを見ている(Big brother is watching you)」は現実世界でもあまりにも有名。党のイデオロギーはイングソックと呼ばれ、党の命令に逆らうことは許されない。また党が矛盾したことを言っていても、人民はその矛盾した2つの通年を同時に持ち、受け入れなくてはならない。これを二重思考(ダブルシンク)と呼ぶ。また、人民の思考を単純化し、ダブルシンクを受け入れやすくさせるため、公用語である英語の語彙を年々減らしており、これを新語法(ニュースピーク)と呼んでいる。(例 : badという言葉は、un-goodというニュースピークで代用可能であり、不要) ウィンストンは党の真理省と呼ばれる省庁で、党の記録や記事を改ざんし、常に党の発言が正しいようにする仕事をしている。前述の通りオセアニアは常にどこかと戦争しているが、数年前までユーラシアと戦争していたはずが、いつの間にかイースタシアと戦争している、といったことは日常的で、そうした場合に党の記録が矛盾しないよう、全てを削除し書き換えるのが彼の部署の仕事である。ウィンストンはそうした仕事を通して現体制に疑問を募らせる。その後、同じく現体制に疑問を抱く女性ジュリア、党幹部のオブライエンと接触する。
ジョージ・オーウェル
ジョージ・オーウェル
イギリス

著者の概要

ジャンル

[ "文学", "現代文学", "現代イギリス文学" ]

著者紹介

イギリス植民地時代のインド・ベンガルに、イギリス人文官の子として生まれる。イギリスのイートン・カレッジで学んだ後、ビルマで警官として勤務するも辞職し、その後はルポライターとしてパリやロンドンで暮らしたり、マルクス主義に傾倒してスペインで反ファシズム運動に身を投じるなど、各地を転々とした。晩年に『動物農場』を執筆し脚光を浴びるも、結核に侵され、父祖の地であるスコットランドで療養しながら『1984年』を書き上げ死去した。